「最初に肋骨にものすごい衝撃を食らってさ。でも振り返ったら、サメの顔が目の前にあったんだ。……俺の脚はビスケットみたいになってて、骨が砕ける音が聞こえたよ」
概要
ルーカス・アーセノルト(Lucas Arsenault)は、カナダのプリンスエドワードアイランド(P.E.I.)出身のプロカイトボーダーである。GKAのライブストリーム等で「カナダ出身のシュレッダー(shredder)」と称される実力者。2024年にサメの襲撃によって右脚を失う悲劇に見舞われたが、わずか3ヶ月後に義足で水上へ復帰する驚異的なレジリエンス(不屈の精神)を見せ、世界中のコミュニティから絶大な称賛を集めている。
キャリア
兄の影響で2010年頃からカイトボードを開始。ホームスポットはカナダのスカミッシュ(Squamish)である。カナダ・フリースタイル選手権(Kite Clash)で複数回の優勝を飾るなど、国内トップライダーとして活躍してきた。
プレイスタイルはフリースタイルおよびウェイクスタイルを専門とし、単なる回転数よりもパワー、スタイル、流麗なグラブ(トゥイークなど)を重視している。得意トリックは「シートベルト・バック・トゥ・ブラインド」や「KGB 5」。また、ロックダウン中には障害物(features)のないスカミッシュの平水面で猛特訓を重ね、「スリム・ナイン」などGKAトップレベルの高難度トリックを習得し、世界ツアーへの参戦意欲を燃やしていた。
スポンサー・所属ブランド
長年にわたりCabrinha(カブリナ)およびDakine(ダカイン)のインターナショナル・チームライダーとして活躍。また、プロライダーとしてだけでなく同ブランドのチームマネージャーも務めており、業界やギアに対する深い知識を持っている。
パーソナリティと交友関係
2024年のサメの襲撃時、ボート上でシャツを使って機転を利かせた止血帯(ターニケット)を作り、彼の命を救ったのは恋人のジョリー(Jory MacIsaac)であった。事故から半年後の同年11月、ルーカスは再びタークス・カイコス諸島を訪れて彼女にプロポーズし、婚約を果たした。また、彼の事故の際には世界中のカブリナ・コミュニティやライダーたちが結束し、治療を支援するためのチャリティビール「Shark Eh」が作られるなど、シーン全体から深く愛されている。悲観せずに感謝とユーモアを持ち続けるその精神は、多くの人々にインスピレーションを与えている。
名言・エピソード
カナダ選手権で念願の初優勝を飾った際の喜びの言葉:
「個人的に(カナダ・フリースタイル選手権のタイトルは)いつか挑戦したいって目標にしてたんだよね」
— Lucas Arsenault
自身のホームスポット環境について語った言葉:
「スカミッシュが俺のホームスポットなんだけど、悲しいことにパークの障害物(フィーチャー)がないんだよ」
— Lucas Arsenault
GKAトップ戦線への挑戦に向けた特訓を振り返って:
「ああ、(来年はGKAに)出たいね。シーズン中はスカミッシュにこもってさ……『9回転』もメイクできたし、『スリム・ナイン』もかなりいい線いってる。トップレベルの決勝で出るようなトリックだよ」
— Lucas Arsenault
サメの襲撃と奇跡の復活劇
2024年5月23日、かつて自身がカイトを教えていた思い出の地であるタークス・カイコス諸島の沖合で、友人や家族とシュノーケリング中に体長2〜3メートルのイタチザメ(Tiger Shark)に襲撃された。自らサメの目を突いて撃退しボートへ逃れたものの、右脚を膝上から切断、左手足にも深刻な損傷を負う大怪我となった。しかし、「生きていることへの感謝」にマインドセットを切り替え、過酷なリハビリを経てわずか3ヶ月後の同年8月に義足を装着してカイトサーフィンへの復帰を果たした。後の復活イベントにおいて彼は、人生が一瞬にして変わってしまったときに本当に「前に進み続ける」とはどういう意味なのかについて、力強いスピーチを行っている。
大会結果
2016年:カナダ・フリースタイル選手権(Kite Clash 2016) 男子フリースタイル優勝(前年の大クラッシュによる脳震盪を乗り越えての勝利)
2017年:Squamish Kite Clash 2017(国際オープン部門) 男子フリースタイル優勝
2018年:Kite Clash 2018 オープン・フリースタイル 準優勝
2021年:Kiteboard 4 Cancer 男子部門 準優勝
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