概要と構成
Hinterberger(ヒンターバーガー)は、カイトボードのフリースタイルにおいて、レイリーの姿勢から水平なバックロール(後方回転)を行うアンフックトリックである。前方向(フロントロール方向)に回転する「Sベンド」とは対をなす逆回転のトリックであり、体をフラットに保ったまま回転軸を水平にするのが最大の特徴である。ウェイクボードから派生したトリックであり、カイトボードの競技シーンでは、非常に多くの高難度トリック(パス技)のベースとして機能する。
このトリックの名称は、ウェイクボード界で本トリックを考案したオーストリアのプロウェイクボーダー、クリスチャン・ヒンターバーガー(Christian Hinterberger)の苗字に由来している。カイトボード界がウェイクボードの正統派なトリックを本格的に取り入れていく過程で、彼のシグネチャートリックの名前がそのまま持ち込まれ、現在も引き継がれている。
メカニズムとコツ
アプローチはSベンドやレイリーと同様に、しっかりとカイトを安定させてアンフックし、力強くポップする。水面から飛び立ち、体を後方にしっかりと反らせてレイリーの姿勢を作る。その後、前足側の肩を後ろに引くように胸を開き、頭を背中側へ振ることでバックロールの回転を主導する。Sベンドが「下を覗き込む」視線であるのに対し、ヒンターバーガーは「空を見上げるように胸を開く」視線と体の使い方がポイントになる。回転中はバーを腰の近くに引き寄せ続け、軸が縦にブレない(インバートしない)ように水平をキープすることが重要である。
競技シーンにおける厳格な技術的定義として、ポップした後に「しっかりと体を水平に引き伸ばすレイリーの動作」を最初に行うことが不可欠とされる。この事前のレイリーの伸びが不十分なまま回転に入ってしまうと、「レイトモブ(Late mobe)」など別のトリックとみなされてしまい、審査員の採点が著しく低くなる。そのため、回転を急がずにしっかりとしたタメ(拡張)を作ることが、美しいメイクと高得点への鍵となる。
派生トリック
- Hinterberger to Blind:ヒンターバーガーの回転の勢いを活かし、さらに半回転追加してブラインド状態で着水する。
- Hinterberger Mobe (H-Mobe):ヒンターバーガーの回転後にハンドル・パス(多くはフロントサイドへのパス)を組み合わせるトリック。回転数に応じてヒンターバーガー・モブ5(540度回転)などと呼ばれる。
- ヒンターバーガー・フロントサイド 3 / 5 / 7:ヒンターバーガーの回転にフロントサイドパスを加え、空中でさらなるスピンを複合させる。
- ダブル・ヒンターバーガー:滞空中にヒンターバーガーのバックロール回転を2回連続で行う。
代表的なライダーと名シーン
- フィン・フリューゲル (Finn Flügel):次世代の若手トップライダーであり、「ヒンターバーガー・モブ5」やさらに難易度の高い「ダブル・ヒンターバーガー・モブ5」などを得意技としている。
- カルロス・マリオ:フリースタイルの王者として、大会でヒンターバーガー系統の超高難度バリエーション(ヒンターバーガー7など)を完璧な精度でメイクする。
- ロビンソン・ヒラリオ:力強いウェイクスタイルを武器とし、ヒンターバーガー・モブ5をはじめとする多彩なコンボトリックを世に広めたライダーの一人。
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