概要と構成
Back Mobe(バックモブ)は、アンフック状態でバックロール(後方回転)を行いながら、空中でフロントサイド360度のハンドル・パスを組み合わせるトリックである。カイトボードシーンにおいて単に「Mobe(Mobe)」と呼ぶ場合、通常はこのバックモブを指しており、すべての「Mobe系トリック」の原形となっている。語源はウェイクボード黎明期に生まれた造語であり、「Maddest Off-axis Boarding Experience(最も狂気じみた軸ズレ・ボーディング体験)」の頭文字(M.O.B.E.)から名付けられた。1997年頃、ウェイクボードをバックグラウンドに持つレジェンド、ルー・ウェイマン(Lou Waiman)によってカイトボード界に持ち込まれた。
メカニズムとコツ
トリックが正式に「Mobe」として認定されるための絶対条件は、「1回のロール(縦回転)」と「最低360度のスピン」の両方を完遂することである。スピンが途中で止まり、180度回転で着水した場合は「Backroll to blind(バックロール・トゥ・ブラインド)」などと呼ばれ、真のMobeとはみなされない。バックモブは、風上に向かってエッジを効かせてカービングし、自ら水面を蹴って(ポップして)回転を作る。そのため、波のキッカーに依存するモビー・ディック(Moby Dick)とは異なり、フラットウォーター(平水面)でもメイクが可能である。
派生トリック
バックモブの基本構造をベースに、踏み切りや回転軸を変えた様々な派生トリックが存在する。
- Front Mobe(フロント・モブ):フロントロールをベースにしたMobe。
- Low Mobe(ロー・モブ):カイトを極めて低い位置に保ったまま放つバックモブの高度なスタイル。
- S-Mobe(Sモブ):インバート(倒立)せずにフラットな軸を保ったまま、カウンター・ローテーションでパスを行うバリエーション。
- Crow Mobe(クロウ・モブ):トーサイドの踏み切りからフロントロールを行い、フロントサイドのパスへと繋げるバリエーショントリック。
代表的なライダーと名シーン
- ルー・ウェイマン(Lou Waiman):1990年代後半に、ウェイクボード由来のMobeやKGBをカイトボードシーンにいち早く導入し、フリースタイルの技術を根本から引き上げた先駆者である。
- ユーリ・ズーン(Youri Zoon):通常は「寝ていてもできる(can do in his sleep)」と実況に評されるほど、完璧で力強いロー・モブ(Low Mobe)を得意とし、大会でも圧倒的な安定感を誇る。
- カルロス・マリオ(Carlos Mario):高難度なクロウ・モブ5(Crow Mobe 5)などのバリエーションを、難所でも見事に決める圧倒的なスキルを持つ。
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