Andre Phillip(アンドレ・フィリップ)

概要

「クレイジーなフリースタイルトリックをやっている人たちを見たの。ループとかね。もう、度肝を抜かれたわ。私にとって初めての体験で、それがアンドレ・フィリップだった。彼は私に大きな影響を与えてくれた人物よ」

ブルーナ・カジヤ

アンドレ・フィリップ(Andre Phillip / 愛称:Dre)は、アンティグア出身の伝説的プロカイトサーファーである。カイトボード界における「ウェイクスタイル」やレール、スライダーを使った「パークライディング」の基礎を築き上げた歴史的なキーパーソン(GOAT)として広く知られている。大会での点数稼ぎではなく、「純粋なカッコよさと楽しさ(スタイル)」を追求してコンペティションシーンからドロップアウトした反逆のパイオニアであり、その姿勢は後のフリーライダーたちに多大なインスピレーションを与え続けている。

キャリア

キャリアの初期には、当時のワールドツアー(PKRA)に数年間参戦していた。無名だった彼のような若手ライダーにとって、大会で結果を出して知名度を上げることがスポンサーを獲得するための手っ取り早い手段だったからである。2001年にカリブ海のセント・マーチン島で開催されたデビュー戦の大会で見事優勝を飾っている。

しかし、スポンサーからの支援を確立した段階で、彼はツアー競技から早々に引退(ドロップアウト)した。大会のガチガチなフォーマットや採点基準に自分のスタイルを当てはめることを嫌い、自らが本当にやりたいことではないと感じたためである。それ以降は障害物を使った「レール・ミッション」に専念し、純粋にスポーツを楽しむ方向へシフトしていった。

パークスタイルの頂点を決める大会「Triple S Invitational」においては、2008年に見事優勝を果たしている。この大会で彼は、その後3連覇することになるブランドン・シャイド(Brandon Scheid)を僅差で破った。彼がウェイクブーツを履いてレールやスライダーを攻めるスタイルを見せつけたことで、この年の大会は伝説となり、【パークスタイル / ウェイクスタイル】が完全にひとつのジャンルとして確立されたのである。

スポンサー・所属ブランド

長年にわたり、ビッグブランドであるCabrinha(カブリナ)の看板ライダーとして活躍し、サーフィンやスケートボード、ウェイクボードのカルチャーをカイトボードに持ち込んだ最大の功労者の一人である。その後、同郷のジェイク・ケルシック(Jake Kelsick)らと共に独立系ブランド「Tona Kiteboarding」を設立。大会の点数用ではなく、「カリブ海のバイブス」と「純粋なフリーライドの楽しさ」を体現するボードやギアを生み出し続けている。

パーソナリティと交友関係

彼の「勝つこと」よりも「スタイル」を重んじる姿勢は、数多くのライダーに衝撃を与えた。のちにフリースタイル世界女王となるブラジル出身のブルーナ・カジヤが、カレッジ進学でマウイ島へ移住した際、カイトビーチで空中ループやスケートライクなトリックをこなす彼を目の当たりにして度肝を抜かれたという。また、イギリスのサム・ライト(Sam Light)やジェイク・ケルシックと共に出演した映像作品『Island Time』は、映像分野でも絶大な影響力を持つ名作として語り継がれている。

名言・エピソード

「数年間このツアーに参戦していた。当時の俺のようにスポーツを始めたばかりの人間にとって、一番手っ取り早く評価される方法は大会で良い成績を残すことだったからな。……でも同時に、ツアーのフォーマットに自分を当てはめなきゃならないのが本当に嫌だったんだ。自分が本当にやりたいことをやっている気がしなくてね。……スポンサーの支援を受けながらもそこから抜け出せる段階に到達したとき、俺はツアーから降りたんだ。それ以来、俺はレール・ミッションに専念して、このスポーツをもっと楽しむようにしているよ」

—アンドレ・フィリップ

「今回勝つ前、俺は2009年、2010年、2011年に優勝した。そして2008年にはDreに1.8点差で負けたんだ。それ以来はずっと2位か3位でポディウムに上り続けている感じだね」

—ブランドン・シャイド

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