ベルヌーイの定理(Bernoulli’s principle)とは、流体の速度が増加すると圧力が下がるという流体力学の基本法則である。カイトサーフィンにおいては、空を飛ぶカイトや水中を進むハイドロフォイルが、自身を持ち上げる力である「揚力」を発生させるメカニズムを説明する最も重要な理論として位置づけられている。
カイトのキャノピーやフォイルのフロントウィングは、航空機の翼と同様に上面が湾曲し、下面が比較的平らな形状に設計されている。この翼に対して風や水が前方向から当たると、湾曲して距離の長い上面を通る流体は、下面を通る流体よりも速く流れる。ここでベルヌーイの定理が働き、流速の速い上面の圧力は低下し、下面の圧力は相対的に高くなる。この上下の圧力差によって、低圧側へと吸い寄せられるように下から上へと押し上げる「揚力」が生み出される。
カイトサーフィンにおける実際のライディングでは、単なる翼の形状だけでなく「仰角(迎え角)」をつけることで、このベルヌーイの定理による揚力を意図的に増大・制御している。流体の流れに対して翼の前縁を少し上向きに傾ける(仰角をつける)と、下面に当たる流体の圧力が増すと同時に上面の流速がさらに上がるため、より強大な揚力を得ることができる。ライダーは、コントロールバーを手元に引いてカイトの仰角を深めることで高くジャンプし、ボード上の体重移動でフォイルの仰角を調整することで水面からの浮上(フォイリング)をコントロールしている。
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