概要
リアム・ウェイリー(Liam Whaley、1997年生まれ)は、国際大会でスペイン代表として活躍するプロカイトボーダーである。フリースタイルで世界王者となった後に極限のビッグエア競技へと転向し、両分野で頂点を極めた現代カイトボーディング界を代表するトップアスリートの一人である。
プロフィールと生い立ち
イギリス人の父とオランダ人の母の間に生まれ、スペインのイビサ島で育った。14歳の時にプロカイトボーダーを目指してカイトの聖地であるスペイン・タリファへ移住した。元々はアルペンスキーの競技者でもあった。タリファの地元では、彼の闘争心と力強さから「El Torito(小さな闘牛)」という愛称で親しまれている。
競技キャリアと主要戦績
フリースタイルの王者からビッグエアの覇者へ
2015年にWKL/PKRAフリースタイル世界チャンピオンを獲得し、フリースタイルの頂点に立った。その後、活躍の場をビッグエアへと移す。2018年には、南アフリカで開催される最高峰の大会「Red Bull King of the Air(KOTA)」に、負傷したニック・ヤコブセンの代役(ワイルドカード)として初出場。圧倒的なフリースタイル技術をビッグエアに持ち込み、初出場にして準優勝という歴史的快挙を成し遂げた。
2019年のGKAブラジル大会では「Mobe 7」や「Heart Attack 7」を完璧にメイクし、連続して10.00点満点(Perfect 10)を叩き出した。
歴史を変えた激闘
2021年にはオランダで開催された「Red Bull Megaloop Challenge」で優勝を果たした。同年、デンマークで開催された「Cold Hawaii Big Air」では風速50〜60ノットという記録的な暴風の中で優勝。この大会で彼は、当時ビッグエアでは9mのCカイトを使うのが常識だった時代に7mの小さなカイトを選択し、ボードオフ・カイトループをメイクして勝利を収め、スポーツの歴史を変えるターニングポイントを作った。
2022年のKOTAでは、ヒール・フルーフトとのヒート残り3秒で完璧な「Double loop board off」をメイク。KOTA史上最高得点となる9.94点を叩き出し、世界に衝撃を与えた。2023年にはフランスで開催された「Lords of Tram」で優勝。ヒート途中で風の吹き上がりを察知して6mのカイトに張り替えるという天才的なセーリングの直感(Seamanship)を見せ、最大のライバルであるアンドレア・プリンチピを破った。
プレースタイルとイノベーション
フリースタイル出身であるため、空中の空間認識能力(Aerial awareness)が異常に高く、どんな強風下でもボードを水平に保つ完璧なフォームを持つ。カイトを45度の低い位置(Kite Low)に保ったまま強烈なエッジングを行い、ウェイクボードのケーブルに引っ張られているかのような爆発的なポップを生み出すのが特徴である。また、ビッグエアに転向する際、ブーツ(バインディング)からストラップへと適応するための猛特訓を重ね、高難易度のボードオフトリックを自らの武器とした。
ケガと不屈の復活
キャリアを通じて度重なる大怪我に見舞われているが、その度に驚異的な復活を遂げている。2018年には足首を骨折し、2020年のブラジル大会ではヒート勝利が確定した後に大技に挑んで着地で失敗し、半月板や前外側靭帯(ALL)を激しく損傷した。
さらに2023年には、慢性的な負傷と椎間板の劣化により深刻な背中の重傷を負い、18ヶ月間の長期離脱を余儀なくされた。この怪我からのリハビリを経て復帰した際、背中への負担を減らすために一般的なウェストハーネスから「シートハーネス」へと転向した。体の軸がズレやすくトリックの感覚が変わってしまうシートハーネスに適応し、再び世界のトップで戦い続ける彼の技術力と精神力は高く評価されている。
スポンサーと交友関係
初期はCabrinhaに所属して世界タイトルを獲得し、その後F-Oneを経て、2022年にDuotoneへと電撃移籍した。また、自動車メーカー・Porscheの公式ブランドアンバサダーも務めており、シグネチャーデザインのモデルも展開されている。
スキー時代から絶対的な信頼を置くコーチ、ファビオ・イングロッソのもとでトレーニングを積んでおり、自身が出場しないヒートでも仲間のためにキャディー(Caddy)として献身的にサポートする姿がよく見られる。
印象的な名言
「僕は普段からプレッシャーに強い方だから。世界チャンピオンになるには、基本的にこの大会で勝つしかないんだ」
— 2017年、タイトル争いの土壇場にて
「この大会には『自分にプレッシャーはかけないぞ』と心に決めて来たんだ。だって怪我からの復帰戦だったからね…」
— 怪我明けの復帰戦でいきなり決勝に進出した直後
「プロカイトボーダーから、プロのキャディー、そしてプロのスピーカーへの転身さ」
— 実況席でのゲスト解説後、仲間のサポートに向かう際のジョーク
🔗 関連リンク: Liam Whaley – Professional Kite Surfer
