概要
Naish(ナッシュ)は、ハワイ・マウイ島を拠点とするウォータースポーツ界の老舗ブランドである。ウィンドサーフィン界の生ける伝説であり、通算24回の世界タイトルを持つロビー・ナッシュ(Robby Naish)が創業。カイトボード黎明期からスポーツの基盤を作り、数々の革新的な機材を生み出してきた業界の最重要ブランドの一つとして知られる。
ブランドの歴史と理念
1990年代後半にいち早くカイトボード市場に参入。ロビー本人が「恐竜が地球を歩き回っていた頃」と笑って語るほどその歴史は深い。1999年にリリースした「AR 3.5」は、カイトボードが本格的なスポーツとして確立する契機となった。続く2000年の「AR 5」は初の専用4ラインプロダクションカイトであり、現代のカイトボードに欠かせない「チキンループ」の概念を市場に導入し、安全性とデパワーの技術を大きく前進させた。
アルファベットの「W」や「Σ(シグマ)」のように大きく湾曲した独自デザイン「Sigma Shape(Cult)」など、失敗を恐れず市場に革新を問うR&D姿勢を貫いている。2023年1月には、約7ヶ月の交渉を経て長年のディストリビューターであったオランダの「Kubus Sports」へ実務を売却。しかしロビー自身はブランドのライセンスを保持し、現在もマウイ島でのテストやプロダクト開発を主導し続けている。
代表的なプロダクト
Pivot(ピボット): 初心者でも扱いやすいオールラウンドなフリーライドカイトだが、チームライダーのケビン・ランゲレー(Kevin Langeree)がこのカイトでRed Bull King of the Air(KOTA)を制覇。「プロ専用のCカイトよりも、扱いやすいフリーライドカイトの方が実は最も高く飛べる」ことを証明し、ビッグエアの歴史を変えた大ヒットモデル。
Nvision(エンビジョン)シリーズ: Aluula素材を採用した最新の最高級ハイエンドライン。現在は「Pivot Nvision」が展開されており、専用のビッグエアカイトやウェーブフォイルの開発も進行中。
その他の名作カイト: トップライダーたちが長年KOTAやフリースタイル競技で限界をプッシュするために愛用してきた、伝統的でアグレッシブなCシェイプの「Torch」、波乗りの際にカイトが風下に美しく流れるドリフト性能に優れた「Slash」、操作性と安定性を極限まで高めたプラグアンドプレイの「Triad」などを展開。
ボード群: ケビンがKOTA優勝時に使用した、強風下でも強烈なグリップを誇るツインチップ「Monarch」、波乗り用のクラシックなサーフボード「Global」、ノーズを切り落としたスナブ・ノーズ形状を持つストラップレス用の名機「Gecko」、ベストセラーのオールラウンドボード「Motion」とその超軽量カーボン版「Drive」、小波向けの「Skater」などをラインナップ。
技術的な特徴
ライダーがバーを自分から遠ざける方向に押し出してリリースする「プッシュ・アウェイ」式のクイックリリース・システム(Nalu Kai特許)を開発し、長年にわたり業界標準の安全機構として採用された実績を持つ。常に風と波があるマウイ島の環境でテストを繰り返し、ハワイアンスピリットを機能とデザインの両面に反映させている。
チームライダー
ジェイソン・ヴァン・デル・スプイ: 2026年1月にAirushからNaishへ電撃移籍。「ただ競技で勝つためだけのカイトを作るのではなく、ギア設計の初期段階から携わり、純粋にカイトを楽しめる機材を作りたい」というブランドのビジョンに惹かれて加入した。若手育成に力を入れる新生Naishの象徴的な存在となっている。
アレッサ・ソフィア・メンシュ: ドイツ出身のトップライダーであり、ジェイソン・ヴァン・デル・スプイのパートナー。彼よりも先にNaishへ加入しており、2026年3月のLords of Tramで優勝を果たすなど確かな実力でチームを牽引している。アイルランドでのシューティングなど世界中を飛び回り、水上で人生の大半を過ごすスタイリッシュなライダーでもある。
ユーアン・ジャスパン: 2017年のTriple S王者。プロライダーとしての経験を活かし、現在は公式カイトデザイナー(R&D部門)としてPivotなどの開発を主導している。
スティグ・ホフナゲル: Red Bull King of the Airで表彰台(3位)に上るなど、近年のNaishビッグエア部門を牽引するオランダ出身のトップライダー。
過去に所属した主なライダー・移籍組
コーハン・ファン・ダイク: 幼少期からNaishのサポートを受け、極限のビッグエアで活躍を見せたオランダのトップライダー。スペイン・タリファの大会において、史上初めて「ドゥビループ(ダブル・フロントロール+カイトループ)」をコンペティションでメイクした人物として名を刻んでいる(※なお、ドゥビループ自体の考案および世界初メイクはルイス・クラザーンである)。現在はNORTHへと移籍している。
ケビン・ランゲレー/ジェッセ・リッチマン: 共にKOTAを制し、Naishの黄金期を支えた後、他ブランドへと移籍・独立したレジェンドたち。
ヤルー・ランゲレー/サム・ライト/カイ・レニー: かつてNaishの撮影や競技シーンを彩ったスター選手たち。
検索用エイリアス: Naish Kiteboarding, NaishKiteboarding, Naish

