「スネークループに入る時、最初のダブル・ループからカイトを切り替えると…3つ目の回転はコントラ・ループのようになるんだ。」
概要と基本構造
Sループ(S-loop)およびそこから派生するマルチプル(多回転)ループは、空中でバーの操作を反転させ、カイトの回転方向を切り返す極限のトリック群である。
トリックの構造を明確にするため、本稿ではレギュラー・スタンス(左足前 / 左進行)を基準とし、以下のバー操作と回転方向を前提として解説する。
- 通常ループ(後ろ手 / 右引き): 時計回りにカイトが旋回する。
- コントラ・ループ(前手 / 左引き): 反時計回りに、カイトが進行方向(前方)へ向かって旋回する。
これらの「右」と「左」の引きと「ダブル・ループ」を空中で組み合わせることで、単純な連続回転とは異なる、複雑で幾何学的な軌道が生み出される。
SループとコントラS
切り返し(反転)を伴う基本的な複合ループ(2回転)である。
- Sループ (S-loop): 【右 ➔ 左】
通常ループから入り、カイトが上がりきる前に前手へ引き直す。空中でカイトが「S」の字を描くベーストリック。 - コントラS (Contra S): 【左 ➔ 右】
Sループの逆バージョン。最初のアプローチを前手(左)のコントラ・ループから入り、後手を引いて通常ループ方向へ切り返す。
トリプル系派生:Sダブル、スネーク、スパイダー
ビッグエアシーンにおけるトップライダーたちの開発競争により一通り出尽くし、現在では定着した3回転(トリプル)系の最高難度トリック群である。
- Sダブル (S-Double): 【右 ➔ 左 ➔ 左】
Sループの後半(切り返し後)をそのままダブル・ループにしたもの。最初をコントラから入る「コントラSダブル(左 ➔ 右 ➔ 右)」などのバリエーションも存在する。 - スネークループ (Snake Loop): 【右 ➔ 右 ➔ 左】
最初のダブル・ループで強烈に加速した後、前手(左)に一気に引き直してコントラ・ループを回すトリック。カイトが空中で大きく蛇行するような軌道を描き、3つ目の回転は強烈なコントラ・ループとなる。 - スパイダーループ (Spider Loop): 【右 ➔ 左 ➔ 右】
1回転ごとにカイトの引っ張り方向を交互に反転させるトリプル系ループ。空中にクモの巣(スパイダーウェブ)を張るような特異な幾何学的軌道を描く。
メカニズムと難易度
カイトの進行方向を切り替える瞬間、技術的な難易度と恐怖心は極限に達する。
強烈なループの引っ張りによってライダー自身が前方に急加速するため、カイトに追いついてしまいラインが極端にたるむ(スラックする)現象が起きる。ラインテンションが完全に抜けた状態での凄まじいフリーフォールを強いられるため、逆方向への素早い引き込みが遅れればそのまま水面へ激突する。
特に3回転の切り返しにおいては、強烈な遠心力と無重力状態の中で瞬時に体重を移動させ、逆方向へバーを引きちぎるような物理的パワーと極限の機材コントロールが要求される。
検索用エイリアス: S-loop

