Red Bull Megaloop 2023:アンドレア・プリンチピが制した歴史的死闘と予言のタトゥー

「優勝したって!?嘘だろ。本当に?……実は4ヶ月前、メガループのトロフィーのタトゥーを彫ったんだ。まさか今大会が開催されるとは思ってなかったけど、何かの兆候だったのかもしれない!」

—アンドレア・プリンチピ

概要

1566日(約4年)という長いウェイティング期間を経て開催された、世界最高峰のビッグエア大会「Red Bull Megaloop 2023」。風速30〜50ノットのストームが到来したオランダのザンドフォールトを舞台に、招待された16名のライダーが極限のパフォーマンスを競い合った。世代交代が色濃く反映された本大会では、イタリアの若きエース、アンドレア・プリンチピ(Andrea Principi)が死闘を制し、劇的な優勝を果たした。

開催地とコンディション

大会はオランダのザンドフォールト(Zandvoort)で開催された。北海特有の重く不規則なチョップ、強いカレント、そして風速30〜50ノットのガストという、ライダーを容赦なく痛めつける極限の環境である。
長らく完璧なストームが到来せず4年間の空白期間が続いていたが、突如として48時間のグリーンライト(電撃招集)が点灯。世界中に散らばる16名の選手たちは、わずか48時間以内にオランダへ集結することが求められた。中には、アフリカ・モザンビーク沖の離島に滞在していたジョシュア・エマニュエルが、ボートと3本の航空便を乗り継ぎ、大会当日のスキッパーズミーティング開始わずか1時間半前に極寒のオランダへ到着するという過酷なドラマもあった。

フォーマットと出場選手

2015年覇者のラッセ・ウォーカーが欠場し、2019年大会の出場経験者がわずか3名(ロス=ディロン・プレイヤー、リアム・ウェイリー、ジョシュア・エマニュエル)となるなど、若手を中心とした新世代へのターニングポイントとなった。
審査基準は「ベスト1トリック至上主義」。12分間のヒート内で試技したすべての技の中から最も高得点だった1本のみで勝敗が決まる独自ルールが採用された。採点比率は、カイトの低さと引きずられる水平飛距離を評価する「高さおよび過激さ(Height & Extremity)」が70%、グラブや回転の美しさ、クリーンな着水を評価する「完成度(Execution & Flow)」が30%という、極限のリスクを求める設定となっている。

「メガループとは純粋な自由そのものだ。大自然と完全に繋がり、体幹を極限まで引き締め、強烈なヤンク(引き)に耐える。風下へ100メートル吹き飛ばされた後、カイトが再び上昇して自分をキャッチしてくれる。それはまさに至福の瞬間だ」

—ルーベン・レンテン

ハイライト・名勝負

0.26点差の大激戦とプリンチピの勝利

ファイナルヒートには、アンドレア・プリンチピ、リアム・ウェイリー、コーハン・ファン・ダイク、ジェレミー・ブーランドーの4名が進出。ヒート中盤、上位4名全員の得点がわずか「0.26点差」の中にひしめく歴史的な大混戦となった。リアム・ウェイリーが7mのカイトで限界までカイトを低く引き倒すメガループ・バックロール・ボードオフを連発しヒートを支配しかけたが、アンドレア・プリンチピが崩れる波のリップを強引に使ったテイクオフから、多回転フロントロールや超低空ループをねじ込み、スコアを塗り替えて勝利を掴み取った。地元オランダのコーハン・ファン・ダイクも美しいスーパーマンスタイルのボードオフで3位に食い込み、意地を見せた。

予言のタトゥーと豪快な脱衣劇

優勝決定直後のビーチで、アンドレア・プリンチピは最大のハイライトと笑いを生み出した。彼は大会開催の4ヶ月前、年内の開催すら未定だった時期に、右脚に「メガループのトロフィー」のタトゥーを彫っていた。ビーチで興奮冷めやらぬ中、そのタトゥーを披露しようとした彼は、足首側から強引にウェットスーツをめくり上げようと悪戦苦闘。結局下からは脱ぐことができず、諦めてハーネス、ライクラ(ラッシュガード)、インパクトベストといった上半身の装備をすべて豪快に脱ぎ捨て、上から力任せにウェットスーツを脱ぎ直すという愛嬌たっぷりのおバカな姿を見せ、観客の爆笑を誘った。

ダブルクラウンへの野心と伏線

タトゥーを誇らしげに披露した興奮のさなか、彼はまだ誰も成し遂げていない「メガループとKing of the Air(KOTA)の同一年ダブルクラウン」についての野心的な発言を残し、事実上のKOTA制覇を宣言した。有言実行の男となった彼は、同年12月に南アフリカで開催されたKOTAでも頂点に立ち、見事にビッグエアの歴史に刻まれる「ダブルクラウン」を達成することになる。

最終結果

  • 1位: アンドレア・プリンチピ(イタリア)
  • 2位: リアム・ウェイリー(スペイン)
  • 3位: コーハン・ファン・ダイク(オランダ)
  • 4位: ジェレミー・ブーランドー(スペイン)

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