Red Bull King of the Air 2019

概要

2019年のRed Bull King of the Airは、カイトボーディングの歴史に新たな金字塔が打ち立てられた大会として記憶されている。世界で最も過酷なビッグエアの祭典において、かつて誰も成し遂げたことのない「3度目の王座」を獲得するライダーが誕生した歴史的な年だ。そして同時に、一人のアマチュアライダーが並み居るプロの壁を打ち破るという、胸を熱くするドラマも生まれた。

開催地とコンディション

舞台は南アフリカ・ケープタウンカイト・ビーチ。大会当日は、1万人を超える観衆がビーチを埋め尽くす中、30ノット以上の強烈な名物風ケープ・ドクターが容赦なく吹き荒れた。巨大なうねりと暴風が織りなす極限のコンディションは、世界最高峰のライダーたちに限界以上のフライトを要求する最高のステージとなった。

フォーマットと出場選手

世界中から選ばれた18名のエリートライダーが出場。ケビン・ランゲレージェッセ・リッチマンアーロン・ハドロウといった歴代王者たちに加え、リアム・ウェイリーラッセ・ウォーカーといった新旧のトップスターが入り乱れる熾烈なトーナメントとなった。その中で異彩を放っていたのが、フランス出身のオーレリアン・ペトロウだ。彼は出場選手の中で35歳と最年長であり、かつフリートの中で唯一の非プロフェッショナル(アマチュア)ライダーであった。

ハイライト・名勝負

大会は序盤から波乱の展開を見せた。Round 2(敗者復活戦)では、過去2度のKOTA王者であるアーロン・ハドロウが激しいクラッシュを喫し、肋骨を負傷して無念の早期敗退となる衝撃的な幕開けとなった。

この年、最大のサプライズを起こしたのは「ノンプロの王」ことオーレリアン・ペトロウだった。彼は2018年のKOTAにも出場予定だったが、開幕直前に祖父が逝去するという不幸に見舞われ、家族を優先して欠場を選択した過去を持っていた。満を持して挑んだこの2019年大会、彼はアマチュアの枠を完全に超える凄まじい気迫を見せた。誰も見たことがないようなMegaloop Double Late BackrollやMegaloop Triple Late Backrollといった大技に果敢に挑戦。Round 4では3人ヒートの8分経過時に最下位が強制脱落となる過酷なサバイバルの中、ルーベン・レンテンやラッセ・ウォーカーといった強豪を相手に生き残り、見事セミファイナルへ進出するという歴史的な快挙を成し遂げた。彼のこの挑戦は後にドキュメンタリー映像化されている。

13分間に及ぶ決勝戦は、ディフェンディングチャンピオンのケビン・ランゲレー、2013年王者のジェッセ・リッチマン、そしてスタイリッシュなビッグエアを武器とするリアム・ウェイリーによる、息を呑む三つ巴の死闘となった。30ノットオーバーの暴風の中、ケビン・ランゲレーは愛機のPivotを駆り、精密かつ他を圧倒する高さを伴うライディングを展開。対するジェッセ・リッチマンは、リリース前のNorth Orbit(プロトタイプ)を使用して参戦。13メートルの高さからカンフー・パスを試みて激しくクラッシュするなど、極限のリスクを背負った捨て身の猛追を見せた。リアム・ウェイリーも持てる技の全てを出し切り、前年のデビュー戦(2位)に続き、見事2年連続のポディウム入りを果たした。

大会結果と全ヒートラダー

Round 1(1位がRound 4へ直行、2位はRound 3、3位はRound 2の敗者復活戦へ)

Heat 1: 1位 ジェッセ・リッチマン / 2位 Ross-Dillon Player / 3位 Gijs Wassenaar(FO)

Heat 2: 1位 ニック・ヤコブセン / 2位 オーレリアン・ペトロウ / 3位 アーロン・ハドロウ(FO)

Heat 3: 1位 リアム・ウェイリー / 2位 ポシート・マルティネス / 3位 Jerrie van de Kop(FO)

Heat 4: 1位 ルーベン・レンテン / 2位 ルイス・クラザーン / 3位 Janek Grzegorzewsky(FO)

Heat 5: 1位 ラッセ・ウォーカー / 2位 ジョシュア・エマニュエル / 3位 Oswald Smith(FO)

Heat 6: 1位 ケビン・ランゲレー / 2位 マーク・ジェイコブス / 3位 カルロス・マリオ(FO)

Round 2(敗者復活戦・勝者がRound 3へ)

Heat 7: 勝者 Oswald Smith / 敗者 Janek Grzegorzewsky

Heat 8: 勝者 Gijs Wassenaar / 敗者 カルロス・マリオ

Heat 9: 勝者 Jerrie van de Kop / 敗者 アーロン・ハドロウ

Round 3(3人ヒート。勝者のみRound 4へ)

Heat 10: 1位 Ross-Dillon Player / 2位 マーク・ジェイコブス / 3位 Oswald Smith(FO)

Heat 11: 1位 オーレリアン・ペトロウ / 2位 ポシート・マルティネス / 3位 Gijs Wassenaar(FO)

Heat 12: 1位 ジョシュア・エマニュエル / 2位 Jerrie van de Kop / 3位 ルイス・クラザーン(FO)

Round 4(3人ヒート。途中最下位がフラッグアウトで脱落し、残り2人がSemi-Finalsへ)

Heat 13: 1位 ラッセ・ウォーカー / 2位 オーレリアン・ペトロウ / 3位 ルーベン・レンテン(FO)

Heat 14: 1位 ニック・ヤコブセン / 2位 リアム・ウェイリー / 3位 Ross-Dillon Player(FO)

Heat 15: 1位 ケビン・ランゲレー / 2位 ジェッセ・リッチマン / 3位 ジョシュア・エマニュエル(FO)

Semi-Finals(準決勝・1対1)

SF 1: 勝者 リアム・ウェイリー / 敗者 ラッセ・ウォーカー

SF 2: 勝者 ジェッセ・リッチマン / 敗者 ニック・ヤコブセン

SF 3: 勝者 ケビン・ランゲレー / 敗者 オーレリアン・ペトロウ

決勝

1位:ケビン・ランゲレー (27.60) ※KOTA史上初の3度目の優勝・連覇達成

2位:ジェッセ・リッチマン (26.50)

3位:リアム・ウェイリー (24.86)

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