概要
2025年のRed Bull King of the Airは、ビッグエアの歴史において最もドラマチックな展開を迎えた記念碑的な大会となった。決勝では、20歳のロレンツォ・カサーティと16歳の弟レオナルド・カサーティによる大会史上初となる兄弟対決が実現し、カイトボーディング界に新たな伝説を刻んだ。ロレンツォ・カサーティはこの激戦を制して2度目のKOTA王座を獲得し、同年にGKA World Title、Red Bull Megaloop、そしてKOTAの3大タイトルを全て制覇するという歴史的なTriple Crownを達成した。
開催地とコンディション
本大会は、世界屈指のビッグエアゲレンデとして知られる南アフリカ・ケープタウンのカイト・ビーチで開催された。ケープタウン特有の極限の強風と巨大なキッカーとなる波が押し寄せる過酷なコンディションとなり、世界最高峰のライダーたちを極限まで追い込む、まさに王者を決めるにふさわしい舞台が整った。
フォーマットと出場選手
男子オープン部門には、前年度王者のアンドレア・プリンチピをはじめ、地元南アフリカの英雄ジェイソン・ヴァン・デル・スプイ、そして世界中から集結した精鋭たちが顔を揃えた。競技は3人ヒート制のトーナメントラダーで進行し、各ヒートの1位はRound 3へストレートで進出し、2位と3位は過酷なRound 2の敗者復活戦へと回るフォーマットが採用された。また、世界トップクラスの女子ライダーたちが激突する女子部門も同時開催された。
ハイライト・名勝負
今大会の最大の特徴は、ビッグエアの勢力図を塗り替える歴史的な2大ジャイアントキリングの発生であった。Round 3のHeat 18において、圧倒的な優勝候補でありディフェンディングチャンピオンであったアンドレア・プリンチピがザック・アダムスに敗北するという、大会史上最大の番狂わせが発生した。さらに同ラウンドのHeat 13では、地元ケープタウンのファボリットでありトップコンテンダーであったジェイソン・ヴァン・デル・スプイが、ダークホースのパーカー・セージによって撃破され、会場は歓喜と興奮の渦に包まれた。
また今大会は、KOTAとしては予想外の「風の弱さ」が明暗を分ける場面もあった。このコンディションを克服するため、ルカ・チェルーティが大会史上初となるフォイルカイトでの出場という奇策に出る一方で、爆発的なパワーを武器とするヒール・フルーフトは風の弱さに苦しめられ本来の実力を出し切れずに敗退を喫するなど、自然の気まぐれがトップライダーたちを翻弄した。
この大波乱のトーナメントを勝ち上がったのがカサーティ兄弟であった。16歳5ヶ月という史上最年少ファイナリスト記録を更新したレオナルド・カサーティは、決勝でも恐れを知らないライディングで兄に強烈なプレッシャーをかけた。しかし、経験に勝るロレンツォ・カサーティは、極めて難易度の高いKiteloop board-loop comboを着地。そしてヒート終了間際の残り1分、Lorenzoは勝利を決定づける巨大なKiteLoop Inverted 4X+ BackRoll Board Offを完璧にメイク。この一撃で8.44というハイスコアを叩き出し、弟の猛追を完全に振り切った。Lorenzoは大会全体で40回中39回のトリックを成功させるという驚異的な精度を見せつけた。
女子部門の決勝も歴史に残る名勝負となった。スウェーデンのナタリー・ランブレヒトが、ハードな風の中でありながら予定していた10回のトリック試行をすべて完璧に着地させる flawless performance を披露し、ライバルを引き離して頂点に立った。
大会の詳細結果を表示(ネタバレ注意)
オープン部門(男子) 決勝 (Heat 22)
1位:ロレンツォ・カサーティ (34.02)
2位:レオナルド・カサーティ (31.12)
3位:コーハン・ファン・ダイク (27.18)
女子部門 決勝
1位:ナタリー・ランブレヒト (26.92)
2位:ザーラ・フーゲンラード (26.37)
3位:ラナ・ハーマン (23.73)
全ヒートラダー (男子)
Round 1 (1位はR3へスキップ、2・3位はR2へ)
Heat 1: 1.ジェイソン・ヴァン・デル・スプイ(28.34) / 2.ザック・アダムス(26.89) / 3.キモ・ベルケルク (14.04)
Heat 2: 1.ティモ・ボエゼマ(26.55) / 2.ルカ・チェルーティ(26.14) / 3. Baptiste Jacquemain (11.12)
Heat 3: 1.ロレンツォ・カサーティ(33.33) / 2.ジェレミー・ブーランドー(26.45) / 3.チャールズ・ブローデル (14.26)
Heat 4: 1.コーハン・ファン・ダイク(25.62) / 2. Josh Gillitt (23.51) / 3. Eliott Bouton (13.70)
Heat 5: 1.ヒール・フルーフト(25.57) / 2.スタイン・ムル(24.25) / 3.シャハー・ツァバーリ (13.74)
Heat 6: 1.アンドレア・プリンチピ(29.19) / 2.レオナルド・カサーティ(24.44) / 3.パーカー・セージ (12.98)
Round 2 (敗者復活戦)
Heat 7: 1.シャハー・ツァバーリ(26.40) / 2. Josh Gillitt (23.72)
Heat 8: 1.ルカ・チェルーティ(25.53) / 2.キモ・ベルケルク (19.50)
Heat 9: 1.レオナルド・カサーティ(31.16) / 2. Baptiste Jacquemain (19.26)
Heat 10: 1.ザック・アダムス(30.82) / 2.チャールズ・ブローデル (24.32)
Heat 11: 1.ジェレミー・ブーランドー(32.32) / 2. Eliott Bouton (22.28)
Heat 12: 1.パーカー・セージ(27.50) / 2.スタイン・ムル (23.86)
Round 3
Heat 13: 1.パーカー・セージ(31.60) / 2.ジェイソン・ヴァン・デル・スプイ (30.64)
Heat 14: 1.レオナルド・カサーティ(32.88) / 2.ティモ・ボエゼマ (27.86)
Heat 15: 1.ロレンツォ・カサーティ(33.24) / 2.ルカ・チェルーティ (28.42)
Heat 16: 1.コーハン・ファン・ダイク(29.56) / 2.シャハー・ツァバーリ (26.78)
Heat 17: 1.ジェレミー・ブーランドー(34.02) / 2.ヒール・フルーフト (32.78)
Heat 18: 1.ザック・アダムス(33.36) / 2.アンドレア・プリンチピ (32.18)
Semi-Finals (準決勝)
Heat 19: 1.レオナルド・カサーティ(34.04) / 2.パーカー・セージ (33.16)
Heat 20: 1.ロレンツォ・カサーティ(34.34) / 2.ジェレミー・ブーランドー (33.68)
Heat 21: 1.コーハン・ファン・ダイク(30.88) / 2.ザック・アダムス (29.76)
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