2022 Copa Kitley GKA Kite-Surf & Hydrofoil-Freestyle World Cup Taiba

「今のオレは無感情だ。勝つためにここに来た。ただ自分自身であればいいし、他の誰が何をしようと知ったことじゃない。心から楽しんで、誰にも否定できないライディングを見せるだけさ。絶対にこのタイトルを獲る、必ずやり遂げてみせるよ。」

—マチュ・ロペス

概要

2022年11月23日から27日にかけて、ブラジル北東部セアラー州のタイバ(Taiba)で開催された『2022 Copa Kitley GKA Kite-Surf & Hydrofoil-Freestyle World Cup Taiba』。3週間にわたりタイバを舞台に繰り広げられたメガイベント「Copa Kitley」(第1週:ツインチップ・フリースタイル最終戦、第2週:GWAウィングフォイル最終戦)のグランドフィナーレを飾るダブルヘッダー大会であり、2022年Qatar Airways GKA Kite World Tourのシーズン最終戦である。Kite-Surf部門(男女)の最終第2戦と、単発世界選手権として開催されたHydrofoil-Freestyle部門の計3つの年間ワールドタイトルが懸けられ、波と風が交錯するタイバのメインビーチでシーズンのクライマックスにふさわしい激闘が展開された。

開催地・コンディションとハイブリッド採点フォーマット

2週間前のツインチップ・フリースタイル最終戦が砂州の内側にあるフラットな「タイバ・ラグーン」で開催されたのに対し、今回のKite-SurfおよびHydrofoil-Freestyleの2部門は、外洋のうねりが直接打ち寄せるタイバのメインビーチ(Praia da Taíba)を舞台に開催された。
大会期間中は、18〜25ノットのクロス・オンショアの貿易風と約4フィート(胸〜頭サイズ)の波がコンスタントに押し寄せ、ウェーブ・ライディングにもエアリアルのキッカーとしても理想的なコンディションが整った。

また、開幕戦のモロッコ・ダフラ大会が「100% Pure Wave(波乗りのみ)」で争われたのに対し、最終戦タイバのKite-Surf部門では、ライダーの総合力を問う「Wave & Strapless Freestyle ハイブリッド採点フォーマット」が採用された。1ヒートの中で「最大10本の波のうち上位2本のウェーブスコア」と「最大5トライのストラップレス・フリースタイルのうちベスト1本のトリックスコア」を合算(30点満点)する方式となり、波を切り裂くサーフスキルと高難度の空中技の両立が求められた。
一方、13名の精鋭による一発勝負の世界選手権(Winner-Takes-All)として開催されたHydrofoil-Freestyle部門は、1ヒート7分間・最大12トライのうち上位3本のトリックスコア合算(30点満点)で争われた。

Kite-Surf部門の年間タイトル争いと注目選手

全2戦で争われる2022年Kite-Surf部門のタイトルレースは、男女ともに開幕戦ダフラの覇者が首位に立った状態で最終戦を迎えた。
男子部門(28名出場)では、ディフェンディングチャンピオンでダフラ覇者のジェームズ・カルー(オーストラリア)がランキング首位を走り、ダフラ3位の2016年世界王者マチュ・ロペス(スペイン/カーボベルデ)、ダフラ2位のセバスチャン・リベイロ(ブラジル)、そしてダフラ4位のモハメド・アリ・ベッキャーリ(モロッコ)らに逆転王座のチャンスが残されていた。
女子部門(16名出場)では、ダフラ優勝の16歳カプシン・デラノワ(フランス)が今大会で準決勝(ベスト4)へ進出すれば無条件で初のKite-Surf年間女王が確定する状況にあり、ダフラ準優勝のフランシス・ケリー(カナダ)や3位のヨハンナ・カタリーナ・エディン(スウェーデン)が逆転を狙っていた。さらに今大会には、2週間前にタイバ・ラグーンでツインチップ・フリースタイルの年間準女王に輝いたばかりのブルーナ・カジヤ(ブラジル)がストラップレスにクロスオーバー参戦し、大きな注目を集めた。

ハイライト・名勝負

1. 男子Kite-Surf序盤〜準々決勝:ハイブリッド採点で躍動したガブリエル・ベネトンの24.40点
波とストラップレス・フリースタイルを組み合わせたハイブリッド採点により、序盤ラウンドからフランスのカミーユ・デラノワやスペインのキコ・ロイグらがクリーンな「ダブル・フロントロール」を決めて高得点をマークした(キコ・ロイグはラウンド3でタイトル候補の1人だったモハメド・アリ・ベッキャーリを撃破する番狂わせを演じた)。
その中でも群を抜く輝きを放ったのが、ブラジルの若きタレントガブリエル・ベネトンであった。ラウンド5でカナダのリース・マイヤーズコウと対戦したガブリエル・ベネトンは、完璧な「Double Front Roll Shuvit(ダブルフロントロール・ショービット)」にルースでスタイリッシュな波乗りを組み合わせ、大会最高ヒートスコアとなる「24.40点」を記録。続く準々決勝でも、自身がカイトを始めるきっかけとなった憧れの存在であり、ダフラ準優勝でタイトル候補だった同胞セバスチャン・リベイロとの大接戦(フォトフィニッシュ)を制し、準決勝へと駆け上がった。
一方、別山の準々決勝では、ペドロ・マトスがフランスのカミーユ・デラノワを、マチュ・ロペスがブルガリアのニコラ・アバジエフを、そして王者ジェームズ・カルーがブラジルのLeonardo Guerreiro(レオナルド・ゲレイロ)を下し、タイトル争いは首位ジェームズ・カルーと2位マチュ・ロペスの2人に絞られた状態で準決勝を迎えた。

2. 女子Kite-Surf準々決勝:直接対決を制したカプシン・デラノワと、ブルーナ・カジヤの快進撃
女子準々決勝では、最初に登場したツインチップ元世界女王ブルーナ・カジヤが、純粋なウェーブスペシャリストである同胞マルセラ・ヴィットを撃破するサプライズを起こし、準決勝へ進出(ヒート2ではスイスのカミユ・ロゼランド、ヒート3では地元セアラー州のケジアネ・ロドリゲスが勝ち上がった)。
そして最大の山場となった準々決勝ヒート4では、勝てばその場で年間女王が確定するランキング1位のカプシン・デラノワと、彼女を止められる唯一のライバルであるランキング2位のフランシス・ケリーが直接激突した。両者一歩も引かないクロスゲームとなったが、ヒート終了間際の最後の波でスコアを伸ばしたカプシン・デラノワがフランシス・ケリーを振り切って準決勝進出を決定。この瞬間、16歳のカプシン・デラノワが6月のビッグエア世界選手権に続く2022年シーズン2冠目となる、初のGKA Kite-Surf年間ワールドチャンピオンに輝いた。

3. Hydrofoil-Freestyle部門:3週連続出場のマクシム・シャブローと絶対王者シャルル・ブローデルの世界初トリック
13名で争われたHydrofoil-Freestyle世界選手権では、ドミニカのベテランアレックス・ソトが初日にアンフックの特大「Sent Frontmobe」で7.77点を叩き出し、オーストラリアのライアン・パーソンズも着水時にフォイルのウィングを水面でスライドさせる独創的なフロントロールで会場を沸かせた。
さらに、タイバでの3週間で「ツインチップ・フリースタイル(準優勝)」「GWAウィングフォイル(3位)」に続く3種目目の出場となったスイスの鉄人マクシム・シャブローは、アレックス・ソトのアンフック技に触発されてフォイル上での高高度ダングルパスに挑戦し、ベスト4へ進出。
しかし、準決勝でそのマクシム・シャブローの前に立ちはだかったディフェンディングチャンピオンのシャルル・ブローデル(フランス)は、ハイドロフォイル競技史上初となる「Contra Loop Front Roll Board-off(コントラループ・フロントロール・ボードオフ)」をヒート中に成功させる離れ業を演じ、別山の準決勝で18歳の同胞マクシム・デジャルダンを下したアレックス・ソトとの決勝へ駒を進めた。

大会の詳細結果を表示(ネタバレ注意)

「最高だぜ、2度目のワールドチャンピオンになった気分は格別だよ!このヒートは本当にクレイジーだった。人生で初めてリーシュが外れるアクシデントが起きたんだ。1本目のトリックは完璧に決まったと思ったのに失敗していて、そこからボードやカイト、リーシュを3〜4回も交換する羽目になった。その間にもガブリエルは凄まじいライディングを続けていたからね。でもプレッシャーは特権であり、オレたちのベストを引き出してくれるんだ。」

—ジェームズ・カルー

■ 男子Kite-Surf準決勝・決勝:リーシュ外れの危機を乗り越えたジェームズ・カルーが完全制覇で2連覇
男子準決勝ヒート1(マチュ・ロペス対ペドロ・マトス)は、マチュ・ロペスが敗れた瞬間にジェームズ・カルーの年間王者が確定する運命の一戦となった。マチュ・ロペスは序盤にアンフックの「バックサイド360(6.50点)」を決めて先制したものの、ホームの波を知り尽くすペドロ・マトスが「Late Front Shuvit(6.73点)」で逆転すると、ハイタイドの切り立ったセクションでフィンズアウトのハックを連発。トータル「21.66点 対 19.23点」でペドロ・マトスが勝利し、この瞬間、ビーチで待機していたジェームズ・カルーの2年連続となるGKA Kite-Surf年間ワールドチャンピオンが確定した。
しかし、続く準決勝ヒート2(ジェームズ・カルー対ガブリエル・ベネトン)で、すでに年間王者を決めていたジェームズ・カルーに思わぬ試練が襲いかかる。序盤の「バックサイド313」の着水で人生初となるリーシュ外れのトラブルが発生し、カイトが流されて泳いで岸へ戻る緊急事態となったのである。その間にガブリエル・ベネトンがスコアを重ねてリードを奪い、ジェームズ・カルーはボードやカイト、リーシュを3〜4回も交換して猛追。そしてヒート終了間際のラストチャンスで、トラブルの原因となった因縁の「バックサイド313」を完璧にメイクして「8.43点」を叩き出し、トータル「23.50点 対 17.93点」の大逆転で決勝進出をもぎ取った(3位決定戦ではガブリエル・ベネトンが17.50点対13.78点でマチュ・ロペスを下し3位表彰台を獲得)。
迎えた男子グランドファイナル(ジェームズ・カルー対ペドロ・マトス)でも、数週間前にブラジル選手権を制したばかりのペドロ・マトスを相手にジェームズ・カルーが圧巻のパワーサーフィンとエアリアルを揃え、開幕戦ダフラに続くシーズン2戦全勝での完全制覇を成し遂げた。

■ 女子Kite-Surf準決勝・決勝:わずか「0.06点差」で決したブラジル人対決
女子準決勝では、ヒート1でブルーナ・カジヤがスイスのカミユ・ロゼランドを下して決勝進出を決めた。続くヒート2では、準々決勝で年間女王を確定させたばかりのカプシン・デラノワに対し、地元セアラー州のケジアネ・ロドリゲスが気迫の波乗りで襲いかかり、新女王を破って自身初のGKAファイナル進出を果たした(3位決定戦ではカプシン・デラノワがカミユ・ロゼランドを下して3位を獲得)。

「本当にクレイジーで言葉が出ないわ。今年はこれ以上ないほど夢のような1年になった。2つのワールドタイトルを獲ることが私の目標であり夢だったから、それを実現できて本当に幸せよ。」

—カプシン・デラノワ

ケジアネ・ロドリゲスとブルーナ・カジヤによる「ブラジル人対決」となった女子グランドファイナルは、母国の観客が見守る中で歴史的な名勝負となった。
ヒート中盤にはブルーナ・カジヤがこのヒート最高の波を掴んでリードを奪ったものの、ケジアネ・ロドリゲスが驚異的な粘りで終了間際に再逆転。最終スコアの差はわずか「0.06点」という極限の僅差で、ケジアネ・ロドリゲスが悲願のGKAワールドツアー初優勝を飾った(敗れたブルーナ・カジヤも、2週間前のツインチップ部門準優勝に続き、Kite-Surf部門でも準優勝という驚異の二刀流ぶりを証明した)。

「最初から最後まで、この場所に辿り着くために自分に何が足りないのかを見つめ直し、一歩ずつトレーニングを積み重ねてきました。集中力と信念、そして決意を持って挑めば、道は必ず開けるのです。」

—ケジアネ・ロドリゲス

■ Hydrofoil-Freestyle決勝:絶対王者シャルル・ブローデルが2年連続の無敗戴冠
3位決定戦では、スイスのマクシム・シャブローがフランスの若手マクシム・デジャルダンを下して3位に入り、ブラジル滞在3週間で出場した全3種目すべてで表彰台に立つ偉業を達成した。
そして2022年シーズンの全競技を締めくくるグランドファイナル(シャルル・ブローデル対アレックス・ソト)では、ドミニカのベテランアレックス・ソトがスタイリッシュなボードオフ・ローテーションを連発して食い下がったものの、絶対王者シャルル・ブローデルが準決勝で初披露した世界初トリック「Contra Loop Front Roll Board-off」と「Kiteloop Backroll Board-off」を決勝でも次々と完璧に着水させ、圧倒的な大差で勝利。前年に続くGKA Hydrofoil-Freestyle世界選手権2連覇(および6月のビッグエアと合わせたシーズン2冠)を達成し、2022年のGKAワールドツアーは大団円を迎えた。

【Kite-Surf 男子部門 最終結果(Men’s Kite-Surf Final Results)】
1位:ジェームズ・カルー(オーストラリア)
2位:ペドロ・マトス(ブラジル)
3位:ガブリエル・ベネトン(ブラジル)
4位:マチュ・ロペス(スペイン / カーボベルデ)

【Kite-Surf 女子部門 最終結果(Women’s Kite-Surf Final Results)】
1位:ケジアネ・ロドリゲス(ブラジル)
2位:ブルーナ・カジヤ(ブラジル)
3位:カプシン・デラノワ(フランス)
4位:カミユ・ロゼランド(スイス)

【Hydrofoil-Freestyle部門 最終結果(2022 World Championship Standings)】
1位:シャルル・ブローデル(フランス)※2022年ワールドチャンピオン
2位:アレックス・ソト(ドミニカ共和国)
3位:マクシム・シャブロー(スイス)
4位:マクシム・ルアン・デジャルダン(フランス)


【2022年 GKA Kite-Surf 年間ランキング トップ3(Overall World Championship Standings)】
・男子年間ランキング:1位ジェームズ・カルー(オーストラリア)※2022年ワールドチャンピオン(2連覇) / 2位マチュ・ロペス(スペイン / カーボベルデ) / 3位ペドロ・マトス(ブラジル)
・女子年間ランキング:1位カプシン・デラノワ(フランス)※2022年ワールドチャンピオン / 2位ケジアネ・ロドリゲス(ブラジル) / 3位フランシス・ケリー(カナダ)

🔗 関連リンク: Events – GKA Kite World Tour

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