「Northにおいて、我々が追求しているのは徹底的なシンプル化であり、より純粋なパフォーマンスのために余計なものをすべて削ぎ落とすことだ。どこへでも持っていける究極の1枚を作ることをずっと夢見てきたが、ついにそれを実現できたと思っている」
— マイク・レイパー
概要
North Kiteboardingは、1957年にオリンピックセーラーのロウェル・ノースによって創設された世界最大のセイルメーカー「North Sails」およびその親会社である「North Technology Group(NTG)」をルーツに持つ、世界トップクラスのカイトボーディングブランドである。世界最高峰のヨットレースであるAmerica’s Cupなどで培われた最先端の流体力学、複合素材技術、そして精密なエンジニアリングをカイトやボードの設計へと惜しみなく投入し、ビッグエア、フリーライド、ウェーブ、フリースタイル、フォイルといったあらゆるカテゴリーにおいて業界のゲームチェンジャーとして君臨している。
ブランドの歴史と理念
North Kiteboardingの歴史には、2018年から2019年にかけての大きな転換点が存在する。約20年間にわたり、Northのブランド名はオーストリアのBoards & More社へライセンス貸与される形で展開され、数々の名機を生み出してきた。しかし2018年にライセンス契約が終了したことで、Boards & More社は独自ブランドの「Duotone」へとリブランドして既存のモデル名を引き継ぎ、一方で親会社のNorth Technology Groupは「North」のブランドライセンスを自社グループ直下へと回収する決断を下した。
そして2019年8月8日、オランダを拠点に「Mystic」や「Magic Marine」を展開していた企業との統合により、新たに「North Actionsports Group(NASG)」を設立して新生North Kiteboardingが正式にローンチされた。ブランドディレクターには長年ウォータースポーツ業界を牽引してきたマイク・レイパーが就任し、チーフカイトデザイナーにはCabrinhaで長年名機を手掛けてきた巨匠パット・グッドマンを招聘。過去の遺産に頼ることなく、白紙の状態から最新の素材と設計思想を用いたプロダクト開発をスタートさせた。その後もカイトデザイナーのピパイン・スミットやダノ・シー、さらにNorth SailsのAmerica’s Cup開発陣であるスティーブ・カルダーやデイブ・リトルらが開発に合流し、ブランドロゴも従来の斜体「N」マークから親会社North Sailsと共通のアイコニックなロゴへと統合された。「Engineered, Refined, Intuitive(精密な設計、洗練、直感的)」を掲げる同ブランドの哲学は、ライダーがギアの存在を意識することなく自然と一体になれるシンプルな操作性と圧倒的なパフォーマンスの両立に貫かれている。
代表的なプロダクト
新生North Kiteboardingの象徴とも言えるフラッグシップカイトが、5ストラットのビッグエア・カイトループ用モデル「Orbit」である。2019年のブランド再始動とともに投入されたOrbitは、驚異的なリフト力と滞空時間(ハングタイム)、そしてメガループ後の素早いリカバリー性能を高次元で両立し、ビッグエア市場を瞬く間に席巻した。近年ではハイエンド素材を用いた「Orbit Pro」や、次世代の超軽量エアフレーム素材を採用した「Orbit Ultra」へと進化を続けている。
「Orbitを飛ばした瞬間、本当に度肝を抜かれたし最高に興奮したよ。圧倒的なハングタイムがあるんだ。高く飛べて滞空時間が長く、それでいてメガループもしっかり回るカイトを求めているなら、まさに完璧なバランスに仕上がっている」
また、3ストラットの「Reach」は、Orbitのブースト性能、ウェーブ機「Carve」の素早いターン、フリースタイル機「Pulse」のポップ力を融合させた究極のオールラウンドカイトであり、フリーライドからフォイル、カイトループまで1枚でこなせる万能機として絶大な支持を集めている。そのほか、ピボットターンとドリフト性能に特化したウェーブ・ストラップレス用モデル「Carve」、アンフックやパークライディング向けに設計されたハイブリッドCカイト「Pulse」、フォイルや微風域に特化した超軽量シングルストラット機「Code Zero」がカイトラインナップの中核を担っている。
ボードカテゴリーでは、ツインチップとディレクショナル(サーフボード)の双方でカイトの性能を最大限に引き出すモデルが揃う。ツインチップの代表格である「Atmos」シリーズは、強風下でのエッジグリップと爆発的なポップ、高高度からの着水を和らげるボトムチャンネルを備え、ハイブリッド構造の「Atmos」とカーボン積層の「Atmos Pro」、さらに超軽量な「Atmos Ultra」を展開。加えて小柄・軽量なライダー向けにフレックスとスタンス幅を最適化した「Astra」、快適なフリーライドボード「Prime」、ハイロッカーとPressFlexティップで海面からパークのキッカーやレールまで対応するウェイクスタイル・パークボード「Flare」が脇を固める。一方のディレクショナル・ボードでは、ホローな大波や高速のダウンザラインで抜群のドライブ感を発揮する本格ウェーブモデル「Charge」、通常の約半分まで抑えた極薄・低ボリューム設計(DynaLite)とボトムチャンネルによって水面でのスピードと爆発的なポップを生むストラップレス・フリースタイル専用機「Comp」、そして耐衝撃性に優れたバンブー構造(EcoLite)を採用し波乗りからフラット海面のエアトリックまで1本でシームレスにこなすオールラウンドモデル「Cross」という3本柱が展開されている。これらすべてのカイトとライダーを繋ぐコントロールバー「Navigator」(および自動アンワインド機能付きの「Navigator Pro」)には、工具不要でチキンループを数秒で交換できる独自の「Toolless Interloop」システムが搭載されている。
技術的な特徴
North Kiteboardingの最大の強みは、親会社North Technology Groupが保有する世界最高峰のマテリアルサイエンスへのアクセスにある。キャノピーには高強度・低伸度のトリプルリップストップ素材「N-HTRS」を採用し、リーディング・エッジやストラットには軽量化された「N-Max」や「N-Max2」、さらには超軽量コンポジット素材「Aluula」や独自の次世代素材「N-u80」を適材適所に投入することで、劇的な軽量化と剛性の向上を達成している。
また、すべてのカイトにおいてプーリー(滑車)を完全に排除した「No-Pulley Bridle」設計を貫いており、ラインの摩耗トラブルを防ぎつつ、カイトの位置をミリ単位で把握できるダイレクトなバーフィーリングを実現している。さらに、ストラットの径を極限まで細くして空気抵抗を抑える「Micro-Strut Geometry」や、リーディング・エッジからストラットへの剛性バランスを精密に段階化する「Profile Transition Panels」など、流体力学に基づいた緻密な設計が施されている。
チームライダー
2019年の再始動時、Northはチームマネージャーを兼任したニック・ヤコブセンをはじめ、Red Bull King of the Air 2020を初代Orbitで制したジェッセ・リッチマン、Pulseの開発に関わったブルーナ・カジヤ、故グラハム・ハウズ、そして現在もアンバサダーを務めるヤルー・ランゲレーら創設期ドリームチームを結成し(後にAirushへ移籍したジョシュエ・サン・フェレイラらも輩出)、ブランドの地位を不動のものとした。現在も創設期からの主力と新世代のスターが世界の最前線でチームを牽引している。
マーク・ジェイコブス:ニュージーランド出身のパワーハウス。2019年の創設時より開発拠点オークランドでテストパイロットとしても貢献し、2021年のRed Bull King of the Airで悲願の優勝を達成したブランドの象徴である。
トム・ブリッジ:イギリス出身の「ブリッジファミリー」の末っ子。16歳でRed Bull King of the Air初出場を果たし、ブーツを履いた独創的なトリックとハードコアなスタイルでビッグエアとフリースタイルの境界を塗り替え続けている。
コーハン・ファン・ダイク:「ビッグC」の愛称で知られるオランダの若手ビッグエア・モンスター。高身長を活かした極限の高さのダブル・ループやボードオフを武器に、BAKL優勝やRed Bull King of the Air上位入賞を重ねている。
ルカ・チェルーティ:南アフリカ出身の次世代ビッグエアライダー。高難度のダブル・ループやボードオフを高い精度でメイクし、2024年のRed Bull King of the Airでは母国南アフリカ勢として史上初の表彰台(3位)に立った。
フランチェスカ・マイニ:イギリス出身の女子ビッグエア界のトップスター。圧倒的な高さとアグレッシブなカイトループを武器に、2024年のRed Bull King of the Air新設の女子部門で初代女王に輝いた。
カミーユ・デラノワ&カプシン・デラノワ:フランス出身の兄妹ライダー。CarveやComp、Chargeを駆り、兄のカミーユ・デラノワはパワフルなストラップレスとビッグウェーブを牽引し、妹のカプシン・デラノワは10代にしてGKAワールドタイトルを複数回獲得する絶対女王として君臨している。
マッテオ・ドロティーニ:イタリア選手権5連覇の実績を持つフリースタイル&パークライダー。PulseとFlare、Fixブーツを駆使し、GKAフリースタイルツアーからKite Park League(KPL)までスタイル重視のライディングで異彩を放つ。
このほかにも、スウェーデンのナタリー・ランブレヒト、ハワイ・マウイ島出身のカーリー・トーマ、そして南アフリカの多彩なタレントであるオズワルド・スミスらがNorthのギアとともに世界の舞台で戦っている。
🔗 関連リンク: North Kiteboarding | North Foils | North Windsurfing
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