2021 GKA Kite-Surf World Cup Hvide Sande

「この大会がどうなるか見守るしかないわね。今は少し望みが薄そうに見えるけれど、実はここで本当に素晴らしいセッションができたの。大会が始まる3〜4日前にはツアー全員が揃ってまるで本番のように海に出ていて、みんな最高に興奮していたわ。私も4時間ぶっ続けで海に入っていたのよ。」

—ペリ・ロバーツ

概要

2021年9月6日から11日にかけて、デンマーク西海岸のヴィーデ・サンデ(Hvide Sande)で開催された『2021 GKA Kite-Surf World Cup Hvide Sande』。前年の2020年に開催が計画されながらもパンデミックにより見送られ、1年越しにGKAワールドツアー初上陸を果たした2021年Kite-Surf部門の第2戦(ランキング対象としては2020年カーボベルデ、2021年ズルトに続く第3戦)である。19カ国から男子26名・女子14名のトップライダーが集結し、北欧最大級のウォータースポーツの祭典「WATERZ Festival」の一環として開催されたが、大会期間中の6日間にわたって風が吹かず、1ヒートも消化されないまま無風キャンセルとなった。しかし、この「競技不成立」という結果そのものが、2021年シーズンの年間ワールドタイトル争いに決定的な影響を及ぼすこととなった。

開催地と開幕前の幻のセッション

舞台となったユトランド半島西岸の小さな漁師町ヴィーデ・サンデは、デンマーク語で「白い砂」を意味する名の通り、どこまでも続く白砂のビーチが美しい北欧屈指のウォータースポーツ拠点である。リンコビン・フィヨルドと北海を隔てる細長い砂州に位置し、内海側にはフラットウォーター、外海側には南ピアに沿って綺麗に割れるレフトハンダーの波が立つという、ウェーブとストラップレス・フリースタイルの双方に理想的な地形を備えている。

このスポットが本領を発揮するのは北西の風が吹き込んだ時である。皮肉なことに、大会ウィンドウが開くわずか3〜4日前には完璧な北西の風と波がヒットし、現地入りしていた出場選手全員が4時間以上にわたって海に入り浸るほどの極上のフリーセッションが繰り広げられていた。

6日間の無風とタイトルレースの罠(消えたディスカード枠)

ところが、9月6日のレジストレーションを経て競技期間に突入すると、北海の気圧配置はピタリと動きを止め、風向は逆方向の微風へと変わった。選手たちは毎朝スキッパーズミーティングに集まり、実況のジョー・シアストゥラとジェンマ・ハマイニが「ウィンドダンス」を踊りながら風の到来を待ち続けたが、50平米の巨大カイトでも浮くのがやっとという無風状態が6日間続いた。

この「デンマーク大会の不成立」は、単なる1大会の中止にとどまらず、年間ランキングの計算式を根底から揺るがす罠となった。
2021年シーズンは、前年から持ち越された2020年カーボベルデ大会に、2021年のズルト、デンマーク、モロッコを加えた「全4戦」が予定されており、4戦すべてが成立すれば「最も悪かった1戦の成績を切り捨てられる(4戦1ディスカード)」という規定になっていた。

女子部門で前戦ズルトを制した15歳の新星カプシン・デラノワは、2020年カーボベルデ大会で早期敗退を喫していたため、デンマークとモロッコの2戦を成立させてカーボベルデの低得点をディスカードし、ランキング首位のペリ・ロバーツを逆転する青写真を描いていた。

「ええ、私もタイトルにはすごく飢えているわ。もしここデンマークで大会が成立して、次のモロッコも開催できれば、カーボベルデ大会の成績を切り捨てられる『ディスカード』が発生するの。カーボベルデでは本当に悪い結果に終わってしまったから、どうかディスカードが適用されてあの成績がカウントされないことを願っているわ。」

—カプシン・デラノワ

しかし、最終日の9月11日にデンマーク大会のキャンセルが正式宣告されたことで、シーズン有効試合数は3戦に減少。カプシン・デラノワが待ち望んだディスカード枠は消滅し、カーボベルデの低ポイントを抱えたまま最終戦モロッコへ挑まざるを得なくなった。結果として、カーボベルデ3位・ズルト2位と安定した成績を揃えていたペリ・ロバーツが圧倒的優位に立つこととなった。

男子部門でも同様の現象が起きた。2020年カーボベルデと2021年ズルトを連勝して2000満点を持つジェームズ・カルーに対し、巻き返しを狙っていたペドロ・マトスやアイルトン・コッツォリーノは、ポイント差を詰めるための貴重な1戦を戦わずして失った。これによりジェームズ・カルーは、最終戦モロッコで準々決勝(ベスト8)に進出するだけで自力での年間ワールドチャンピオンが確定するという絶対的な王手をかけた。

スタジオ配信の舞台裏とコミュニティ交流

水上でのヒートが1本も行われなかったにもかかわらず、GKAのライブ配信クルーは連日スタジオブースから長時間の生配信を敢行した。マチュ・ロペス、ペドロ・マトス、フランチェスコ・カプッツォ、キコ・ロイグ、ニコラ・アバジエフ、ステラ・グロシュフ、そしてカミーユ・デラノワとカプシン・デラノワの兄妹ら多くのライダーが日替わりでゲスト出演し、ヘッドジャッジのマロリー・デ・ラ・ヴィレマルクと新任ジャッジのパウリーノ・ペレイラによる採点基準の徹底解説や、各選手のボードバッグの中身を公開する「Tech Talk」企画などが届けられた。特に前戦ズルトで女子史上初のダブル・フロントロールを決めた妹カプシン・デラノワと並んだ兄のカミーユ・デラノワは、兄妹ならではのライバル心についてスタジオの笑いを誘った。

「妹がダブル・フロントロールを決めるようになって、僕がシングルのフロントロールなんてわけにはいかないから、もうトリプルを狙うしかないよ!なるほど、よく分かったよ。」

—カミーユ・デラノワ

また、待機期間中には選手たちが地元の灯台を訪れたり、ヴィーデ・サンデの海岸に漂着した海洋プラスチックごみを回収してサーフボードのフィンやキーホルダーへとアップサイクルする地元環境企業のワークショップに参加したりと、地域コミュニティとの深い交流が行われた。

最終日の閉会にあたり、GKAツアーマネージャーのトム・ハートマンは、全選手に基礎参加ポイントが付与されることを告げるとともに、次のように再訪を誓って大会を締めくくった。

「これで全ライダーがわずかな基礎ポイントを持ち帰ることになり、1ヶ月後のダフラへ向かうことになる。ただ、ここにいる全員に今すぐ約束したいのは、2023年に必ずまたデンマークに戻ってくるということだ。2年後、この地で『やり残した仕事』に決着をつけるよ。」

—トム・ハートマン

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