「カイトが少し高い位置にある時はコントラ・ループ、そしてコントラ・ループでカイトが超低空を通る時は『ダーティ・ループ』だ。」
概要と構成
コントラ・ループ(Contra Loop)は、ジャンプの頂点付近でバックハンド(後ろ手)ではなく、フロントハンド(前手)を引くことで、カイトを進行方向へループさせるトリックである。強烈な水平方向へのヤンク(引っ張り)を生み出す通常のカイトループに対し、コントラ・ループはウインドウのエッジ寄りを通る下方への引く力が働き、独特の軌道と落下を生み出す。
ルーベン・レンテンらが語る定義の通り、このコントラ・ループの中でもカイトの軌道が極端に低く、水面スレスレを回る過激なスタイルを特別に「ダーティ・ループ(Dirty Loop)」と呼んで区別することがある。この名称は、南アフリカを拠点とするエクストリームスポーツ集団「Dirty Habits」の創設者であり、ビッグエアシーンの功労者である故グラハム・ハウズ(Graham Howes)への敬意を込めて名付けられたものである。
メカニズムと難易度
コントラ・ループはフロントハンドを引いてカイトを回すため、バックハンドを引く通常のカイトループとはラインテンションの掛かり方やリスクが大きく異なる。
- ラインテンションの維持: モメンタム(進行方向)に向かってカイトを振るため、風をはらみにくくパワーやラインテンションが抜けやすい。そのため、踏み切りのスピードとエッジング、そしてループを引く絶妙なタイミングが非常にシビアになる。
- アグレッシブなフリーフォール: 通常のカイトループに比べ、ループ後のフリーフォール(自由落下)がよりアグレッシブで急激になる。カイトが下方へ向かった後、素早く12時の方向へ戻して(リフトして)キャッチする操作が少しでも遅れると、強烈に水面へ叩きつけられるリスクがある。
- 複合トリックへの応用: 難易度が高くタイミングがシビアな一方で、体の回転方向とカイトの回転が同調しやすいため、フロントロールなどの回転技やボードオフとの複合トリックに繋げやすいという特徴を持つ。
派生トリック
コントラ・ループは、現在のビッグエア競技における高得点獲得のための重要なコンボパーツとなっている。
- コントラループ・フロントロール: 進行方向へのフロントロール(前回り)とフロントハンドの引きが同調するため、非常に相性の良いスタンダードな複合技。
- ダブルコントラ・ループ: フロントハンドを引き続け、カイトを空中で2回転させる大技。強烈な遠心力に耐えながら、適度なラインテンションを保つ極めて高度な技術が要求される。
- コントラS (Contra S): カイトを進行方向へ一度ループさせた後、バーの操作を反転させ、空中で「S」の字を描くように逆方向へ回し返す変態的な技術。
代表的なライダーと名シーン
コントラ・ループを現在の競技シーンの必須トリックにまで発展させた立役者として、ヤネック・ジェゴジェフスキー(Janek Grzegorzewski)の存在は欠かせない。彼の革新的なアプローチにインスパイアされた多くのライダーが、このトリックを自身の武器として取り入れている。
近年のRed Bull King of the Airなどのビッグエア大会では、アンドレア・プリンチピ(Andrea Principi)が「コントラ・ループ・バックトルネード・ボードオフ」などの複合トリックをメイクし、圧倒的なスコアを叩き出している。
また、ジェレミー・ブーランドー(Jeremy Burlando)が大会で見せた、水面直下までカイトを叩き落とすような真のダーティ・ループは、通常のコントラ・ループとは一線を画す強烈なインパクトを観客とジャッジに与え、このトリックの持つ過激なポテンシャルを証明した。
検索用エイリアス: Dirty Loop, DirtyLoop

